臨海高速鉄道の憂鬱
久々にあおなみ線に乗った。
水色の案内板はいかにも港へ行くのに相応しいデザインで、ステンレスの車両が高架を走る姿はなんか新鮮な気持ちになる。
電車のモーター音も聞き慣れた313系なのに、車内と車窓が違うだけでまた普段とは違った雰囲気を感じられるのもあおなみ線の面白いところである。
「臨海高速鉄道」と名の付く路線は日本に2つある。
東京のベイシティお台場(東京テレポート)や有明(国際展示場)へ向かう「りんかい線」こと東京臨海高速鉄道と、名古屋駅と金城ふ頭を結ぶ「あおなみ線」こと名古屋臨海高速鉄道の2つだ。
この2つ、同じ「臨海高速鉄道」と名乗れど、性格は全く違うようにも見える。
前者は沿線のほぼ全区間が都心のビジネス街であり、住宅は少ないが周辺路線から通勤客を大きく集める。お台場はビジネス街かつ商業歓楽街で平日の昼間もそこそこ乗っているし、土休日もレジャー客が多い。東京ビッグサイトは日本最大の展示ホールであり、コミケ等のイベントの際は莫大な非定期客を運んでいる。
一方で後者は名駅側の都心と稲永〜金城ふ頭の臨海区間の間に住宅地が入り、両方向への通勤のウエイトが高いのが特徴。ところが、その通勤利用は今も伸び悩んでいるようだ。
平日の朝7時台、金城ふ頭方面の電車に乗ってみた。金城ふ頭方面も臨海部の工場等への通勤が多く見られ満席・立ち客そこそこの状態で名古屋を出た。下りはそこそこではないだろうか。
名古屋競馬場前で上りとちょうどすれ違った。客が乗り込んでいくが、いくらかは座席にありついていた。どうも名古屋8時前後着の電車は名古屋競馬場前までは空席があるようなのだ。
普通の路線であれば都心に7:30〜8:30のピークタイムに入る電車はだいたい始発駅か、そこから1つ目で座席は埋まることがほとんどである。中央線の場合だと普通列車でも多治見か高蔵寺で座席は埋まり、そこから立ち客も多く目立つ。
あおなみ線の場合を考えよう。名古屋競馬場前は金城ふ頭から数えて5つ目の駅だ。金城ふ頭や野跡あたりは住宅が少ないので稲永を始発駅として考慮しても2つ目。思った以上に伸びてないなぁと思ってしまう。
あおなみ線の不便さから市バスや地下鉄からシフトがあまりできていないのがやはり現状ということだろう。
なので、あおなみ線も非定期客による増収策を行い、ここ数年は全体の乗客数も伸びてきているようだ。
金城ふ頭は昔はポートメッセがある程度のちっぽけなところだったが、リニア鉄道館やレゴランドの開業でレジャースポットとして定着してきた。けれどお台場と違って交通アクセスが極端に良く(伊勢湾岸道のインターがレゴランド隣りにある)巨大な駐車場を構えたもんだから車でのアクセスが多くて鉄道へのシフトは進んでいない。
おまけに去年開業したレゴランド自体が知名度の低さや入場料の高さから最初から大コケしちゃっている。リニア鉄道館も東海地区の家族連れは概ね一通り行った人が大半で飽きられている感もある。車で日帰りできて2倍大きくて300系や700系よりもかっこいい500系やトワイライトのある京都鉄博に逃げられてしまってる感もなくはない。
あおなみ線もノンストップ便の増発等でレジャー客は増えては来ているが、期待通りの伸びが出て来ず、現状でも厳しい経営に立たされてしまっている。会社単独での維持は到底賄えない。
それでも多くの地域住民や通勤客が利用定着しているあおなみ線は、人どころか熊すら乗らない留萌線や三江線のような超閑散路線のようにバッサリ廃止で切り捨てるわけにもいかない。
だから乗客数をさらに伸ばしていくしかないのだ。今後あおなみ線がどういった風になっていくのか、端から見守っておこうではないか。
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